【  アーカイブのページ  】

1 過去の生物地理学会のホームページ



 国立国会図書館 関西館 によるインターネット資料収集保存事業(WARP)で、過去の生物地理学会のホームページを閲覧できることになりました(初回分は、2023/3/2に収集・保存されたものです。)

   クリックして下さい⇒ https://warp.da.ndl.go.jp/waid/33031

   ※「保存したウェブサイトを見る」内の「保存日」(リンク)をクリックすると、当該日に収集したサイトをご覧いただけます。「保存日」(リンク)は収集の度に追加されます。なお、今後は原則として年1回収集・保存されるとのことです。

   (参考)国立国会図書館関西館の説明   WARP活用術 : 古いページはWARPへリンク
   クリックして下さい⇒  https://warp.da.ndl.go.jp/contents/reccommend/utilization/warplink.html

2 学会主催行事

【市民シンポジウム】
「次世代にどのような社会を贈るのか?」開催の経緯一覧

日本生物地理学会の創設者である渡瀬庄三郎博士、蜂須賀正氏侯爵の精神を尊び、未来の人類に生かすべく継続開催している日本生物地理学会主催市民シンポジウム「次世代にどのような社会を贈るのか?」(敬称略,肩書きは当時のもの)




【一般発表及びシンポジウム】

一般発表とシンポジウムのテーマなど           


(以下は参考です。日本生物地理学会第77回大会は終了しました)

     日本生物地理学会第77回大会は、2023 年4月8日、4月9日に開催されました(日本生物地理学会会報の年次大会の案内の記述が誤りであることが判明したため、2023年の大会は第77回となります。2024.3.27修正)。

     既に実施済みですが、プログラムを以下に紹介します。要旨はクリックで入手できます。

           日本生物地理学会第77回大会プログラム



① 第一部 2023年4月8日(土)13:00~16:30

市民シンポジウム「次世代にどのような社会を贈るのか?」
            『人類は戦争をやめることができるのか?』

            このページ下(↓)に市民シンポジウムのポスターを掲載しています。

総合司会:陰山 大輔(農業・食品産業技術総合研究機構、日本生物地理学会編集委員長)

講 演:森中 定治(日本生物地理学会会長)     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
趣旨説明および講演要旨(森中)

論 評:山極 壽一 (総合地球環境学研究所所長)

           千葉 聡 (東北大学 東北アジア研究センター教授)

           松本 直子 (岡山大学 文明動態学研究所所長)

           石川 洋行 (八洲学園大学 非常勤講師)

論評・クロージングアドレス:石井 剛 (東京大学大学院総合文化研究科教授)

                          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登壇者略歴



② 第二部 一般発表  2023年4月9日(日)12:45~15:00


司会:浅川 満彦(酪農学園大学)

12:45-13:00    日本海と太平洋の沿岸生物系群の分化
                        横川 浩治 (香川県多度津町)     ・・・・・・・・・・・・要旨PDF(横川)

13:00-13:15    エスチャリー魚類の生物地理組成に基づく日本列島の海洋気候帯区分
                        緒方 悠輝也(宮崎大・院・農学工学総合研究科)・村瀬 敦宣(宮崎大学延岡フィールド) 
                        ・・・・・・・・・・・・・・・要旨PDF(緒方・村瀬)

13:15-13:30    宮崎県における外来魚類の記録
                         小原 直人・齊木 悠亮(宮崎大・院・農学研究科)・緒方 悠輝也(宮崎大・院・農学工学 総合研究科)・村瀬 敦宣(宮崎大学延岡フィールド)    ・・・・・・・・・・・・要旨PDF(小原ほか)

13:30-13:45    延岡市沿岸環境の河口域・海産魚類に対する成育場機能の評価
                        栗原 巧(宮崎大・院・農学研究科)・緒方 悠輝也(宮崎大・院・農学工学総合研究科)・ 中西 健二(宮崎県水産試験場)・井上 海斗(宮崎県水産振興協会)・村瀬 敦宣(宮崎大学延岡フィールド )
             ・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・要旨PDF(栗原ほか)

13:45-14:00    伊豆諸島から得られたミミズハゼ属群魚類とその生物地理学的特性
                        斉藤 洪成(宮崎大・院・農学研究科)   ・・・・・・・・・・・・要旨PDF(斉藤)   


司会:春日井 治(日本生物地理学会広報委員長)

14:00-14:15    鱗翅目昆虫における無核精子に関する研究
                        小長谷 達郎(奈良教育大学)      ・・・・・・・・・・・・要旨PDF(小長谷)

14:15-14:30    母から子に伝わりオスを殺す昆虫共生ウイルス
                        陰山 大輔(農研機構生物機能利用研究部門)  ・・・・・・・・・・要旨PDF(陰山)

14:30-14:45    サンゴ ― 微細藻類の共進化 ― 適応白化仮説のモデル ―
                         山田 一夫(上智大学・院・地球環境学)
                          ・・・・・・・・・・・・要旨PDF(山田)

14:45-15:00    釧路動物園における寄生虫研究-野生と飼育の多様な宿主―寄生体関係を展示するモデルとして
                        浅川 満彦(酪農学園大学)・吉野 智生(釧路動物園)
                          ・・・・・・・・・・・・要旨PDF(浅川・吉野)




③ 第三部 シンポジウム 2023年4月9日(日)15:00-17:00
      

〈動物の名前:多様性の理解と自然知の伝承をめぐって〉



【司会・オーガナイザー】三中信宏(東京農業大学)
【演者・タイムテーブル】
15:00-15:05 趣旨説明(三中信宏)

15:05-15:50 講演1

◯安室 知(神奈川大学国際日本学部/日本常民文化研究所)
 「生物の方言名と生活文化体系   貝類の民俗分類に注目して 」   ・・・・・講演要旨(安室)


15:50-15:00 休憩

16:00-16:45 講演2

◯瀬能 宏(神奈川県立生命の星・地球博物館)
 「標準和名とは何か?  その歴史と概念の成立 」         ・・・・講演要旨(瀬能)


16:45-17:00 質疑討論(司会:三中信宏)



③ 第四部 日本生物地理学会総会  2023年4月9日(日)17:00-17:30


司会:陰山 大輔(農研機構生物機能利用研究部門)


サムネイル画像









【講演要旨】
◯安室 知(神奈川大学国際日本学部/日本常民文化研究所)  「生物の方言名と生活文化体系 - 貝類の民俗分類に注目して -」

 人は自然をいかに認識するか。また、その認識のあり方は、人と自然との関係のなかでどのような意味を持つのか。人が自然物を眺めるとき、その眼差しは多様である。そのなかでも分類と命名のあり方は、もっとも直接的に人がいかに自然を認識し、また利用してきたかを表すことになる。
 本発表は、古くから高い商品価値を持つ貝類(アワビ)とその反対に自家消費にしか供されなかった貝類(タマ)に注目して、それぞれの分類・命名のあり方を通して民俗分類の持つ文化的意味を考察するものである。また同時に、それが現代社会のなかにあってどのように変遷していったのかを考察することを目的としている。一言でいえば、生活文化体系のなかに方言名を位置づける試みである。
 人々の暮らしのなかにあっては、学名や標準和名よりも方言名の方が大きな意味を持っている。しかも、生物が自然界から人の手に渡って以降、商品として流通する段階において、方言名は市場名や商品名に呼び変えられてゆく。これまでの歴史研究において市場名や商品名が注目されることはほとんどなかったが、現代を射程に入れ歴史研究をおこなうとき経済活動のなかにあってどのような論理のもと分類・命名され、消費者の段階に至るのかという問題は避けて通ることはできない。


◯瀬能 宏(神奈川県立生命の星・地球博物館)  「標準和名とは何か? - その歴史と概念の成立 -」

 日本の生物の多くには学名とは別に日本語の名前、すなわち「和名」が付けられている。和名には地方名や商品名などがあるが、中でも種や属、科といった生物の分類学上の単位に固有な名称である標準和名は、対象となる生物を特定し、共通の理解を得るために欠かせないコミュニケーションツールである。標準和名は学問の進歩や普及に大きく貢献してきただけでなく、教育や行政、法律の現場で活用されている。一方で、標準和名には学名における命名規約のような学術界に統一的なルールがないため、必ずしも合理的な命名行為が行われているとは限らず、そもそもそのようなルールは必要ないとの意見がある。また、古来より使われてきた生物の和名には文化史的な背景があり、そのような名称への配慮なしに和名を一つに決める行為を問題視する向きもある。
そこで今回は江戸時代の本草学や蘭学(洋学)の発展、それに続く明治初・中期における教育制度の導入との関連を和名という観点から整理し、どのようなプロセスを経て自然史科学系の学術界に標準和名の概念が成立・浸透してきたのかについて私見を述べたい。標準和名がいかなるものか、その理解が深まることで命名問題の多くが解決されることを期待する。